産地あちこち、形いろいろ Azurite
Azurite アズライト(藍銅鉱)
炭酸塩鉱物の単斜晶系で、化学式は Cu3(CO3)2(OH)2
世界各地の銅を産出する所(銅鉱床の鉱脈酸化帯)に、 Malachite(孔雀石)と共に見つかることが多い鉱物。。。。。
パワーストーン的意味合いでは、鉱物によって、その意味合いに違いがあるものも多いが アズライトではキーワードが、『 第3の眼 』で、一貫している。
『三つ目がとおるの写楽保介』や『ワンピースのプリンちゃん』のように
パッと目を見開いて、すごい力が・・・・・とまではいかないものの
多くの女性がお持ちである『 第六感 』などの感覚や洞察力を刺激するというのは
何かにつけて鈍感な私にとっては、とても興味深い!!
明るい青~濃紺色で産出するアズライトは、その結晶が密なほど、より色濃くなる。
サイズは非常に小さいが、透明感のある宝石質な結晶もある。
形状は様々なものが有り、100種類を超えるという。
今回は、そんな、世界中から産出されるアズライトを いくつかを紹介したいと思います。
ロシア産 アズライト
Poteryaevskoe Mine, Rubtsovskoe Cu-Zn-Pb deposit, Rudnyi Altai, Altaiskii Krai, Western-Siberian Region, Russia
広大なロシアの中南部、隣国カザフスタン北東部に接するアルタイ地方にある銅-亜鉛ー鉛の鉱山で 銅は勿論のこと、アズライトの他、Cuprite赤銅鉱もとれる。
本標本は、多数の小さなアズライトの平板状結晶によって形成される 明るい青色で母岩の無い球状凝集体。
光を拡散しキラキラと表層が輝く、ベルベットのような表層の標本。
割ると、中身はいくつかの層になっているものが多い。
オーストラリア産 アズライト
Malbunka Copper Mine, Western Aranda country, Areyonga(Utju), Central Austtalia, Northern Territory, Australia
オーストラリア大陸のほぼ中央部、ノーザンテリトリー南部のマクドネル、アレイオンガにある銅の鉱山。
政府から許可を得た業者(Dehne and Maureen McLaughlin)が、鉱物標本専用に採掘を行っている。
Dehne氏は、自分たちで採掘した、たくさんの標本を、毎年ツーソンショーに持ってきている。
珪砂質の層の間から覗く青いアズライトを、ドリルとハンマーを使い
手掘りで掘り出している写真を見せてもらった。 『家族みんなでやってるの!!』って、奥様が、たくましい腕とたくさんの写真を見せつつ、 『こうやってね L(^^)」』ってお話してもらえるので、機会が有れば、ぜひ訪ねてみると楽しい。
アズライト部分もひとつひとつ表情が異なり、厚みも皆まちまちである。
アズライトが丸い標本がほとんどだが、真ん丸の標本は、探すとなかなか無い。
こんな感じのもの >>> も有って、探すのがますます楽しくなる。
白いカオリナイトと真っ青なアズライトが、抜群のコントラストを見せる美しい標本。
モロッコ産 アズライト その1
Touissit, Touissit-Bou Beker District, Jerada Province, L'oriental Region, Morocco
モロッコの極東、アルジェリアに、ほぼ隣接する地域にある鉱山で、 東部モロッコに集中する、半連続的な炭酸塩鉱床、鉛ー亜鉛鉱床で構成される場所に位置する。
1926年から2002年までのあいだ、鉛、亜鉛、銅、銀を生産したこの鉱山は、
他にも様々な鉱物を産出している。
以下に、記してみると・・・
pyrite黄鉄鉱、limonite褐鉄鋼、marcasite白鉄鉱、chalcopyrite黄銅鉱、bornite斑銅鉱、galena方鉛鉱
sphalerite閃亜鉛鉱、cerussite白鉛鉱、anglesite硫酸鉛鉱、wulfeniteモリブデン鉛鉱、vanadiniteバナジン鉛鉱
hemimorphite異極鉱、pyromorphite緑鉛鉱、smithsonite菱亜鉛鉱、そして藍銅鉱、孔雀石などなどなど
・・・実に様々な鉱物が産出している。
上の写真の結晶は、アズライトひとつひとつの結晶が重なるように連続して並び、 一点を中心とした風車のような形状に結晶した標本。
色が濃く、テリも良く、光が当たると、 深い紺色の表層から明るい青色が浮かび上がり、美しく輝く逸品。
モロッコ産 アズライト その2
Alnif, Tarhbalt, Er Rachidia Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco
モロッコの北西部、ヘマタイトを含んだ真っ赤な水晶でもおなじみのエリアで 三葉虫の化石もたくさん産出するというアルニフ。
そのせいではないとは思うが、微妙にくねった形をしているアズライト。
結晶表層部に、小さな結晶が幾重にも複雑に折り重なり、このような形になったもの。 それら一つ一つがしっかりと結晶化している。 光に翳すと、ひとつひとつの結晶がキラキラと輝く美しい標本。
ナミビア産 アズライト
Tsumeb Mine, Tsumeb, Otjikoto Region, Namibia
たくさんの鉱物が産出するTsumeb産のアズライト。 Tsumebについては、こちらを >>>
黒か?と思うほどの深藍色は、まるで宇宙空間のような色合いであり、艶やかで、とても美しい。
形状も他のとは違って、シングルポイントに成長し、アズライトの輝きとマッドな母岩質感、 それぞれの色の対比が絶妙で美しく、現地の産状を妄想させる。
フランス産 アズライト
Chessy copper mines, Chessy-les-Mines, Le Bois d'Oingt, Rhone, Rhone-Alpes, France
リヨンの近くにあった銅の鉱山であるチェシ鉱山は、様々な鉛、亜鉛および銅の二次鉱物を産出した。 (azurite藍銅鉱、cuprite赤鉄鉱、malachite孔雀石、agarditeアガード石、chrysocolla珪孔雀石 ...など)
特に素晴らしいアズライトの標本を多数拝出した本鉱山は 1811年に開いたポケット『Blue Mine』により、一躍有名となり1875年頃まで稼働した。
全体的にコロッと丸い結晶で、結晶全体が 花弁が折り重なって、バラの花のような形状となっており とっても Kawaii。
アメリカ産 アズライト その1
Morenci Mine, Morenci, Copper Mountain District, Shannon Mts, Greenlee Co., Arizona, USA
アリゾナ州南東部、ニューメキシコとの州境辺りに位置している。 ツーソンから車で約3時間。
モレンシーは、複雑な露天掘り銅鉱山で、1872年に操業を開始した北米最大の銅の産出地。 日本の住友商事や住友金属工業も出資している。
母岩上に、アズライトの小さな花がたくさん咲いたような形状。 不規則に結晶しているが、それぞれが独自に成長しているように見える。
アメリカ産 アズライト その2
Emma Mine, Hanover-Fierro District, Grant Co., New Mexico, USA
ニューメキシコ州南西部にあるエマ鉱山。
エマ鉱山のあるハノーバーフィエロ地区には、名前のついた鉱山が沢山あり その数は50を超える。
この『ひし形』は、この鉱山の特徴的な形状であり 拡大してみると、まるで花弁や鱗のようなに結晶が重なり 並ぶように結晶していて、なんとも興味深い。
アメリカ産 アズライト その3
Lost Lake claim, Nacimiento Mine, San Pablo, Sandoval Co., New Mexico, USA
ニューメキシコ州Santa Feの北西部にあるNacimiento鉱山(旧Copper Glance鉱山)は、 1971年に操業を開始し、約3年間操業した。
産地名記載の通り、湖が消失した場所に、堆積層にてアズライトが球状に凝結したもので、 世界でもここと、他に有るか無いかの、非常に珍しく、おもしろい結晶。
この湖は、鉱山操業に際し出来た、鉱山湖。
色は明るい青色で、見た目通り、先に紹介した他のアズライト結晶に比べ柔らかい。
結晶が、たくさんくっついて、1平方フィート以上のもの見つかっている。
アズライトボールの起源は完全に解明されていないが、 微生物との関連が指摘されていて、とても興味深い。
以上、今、手元に有って、面白いと思われるものをいくつか紹介させて頂いたが
この他にも、たくさんの国々から産出するアズライトはまさに多彩。
勿論、日本国産もあり、その昔は、絵を描くための、鉱物絵具として利用され、
青色を表現する貴重な鉱物であった。
機会が有れば、また紹介させて頂きます